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縄文ロビー講座

くらしの中の考古学
「考古雑学の楽しみ方」
第13回



縄文時代の「使い捨て」と「使い切り」
−土器の使い方あれこれ−
平成17年8月28日 11:00〜

伊達市噴火湾文化研究所 学芸員 青野友哉

1「使い捨て」と「使い切り」
現代は、多くの使い捨て商品が存在します。(ライター、コンタクトレン
ズ、カイロ、各種容器他)アメリカ式の大量消費文化の影響、衛生上
の必要のため、また、近年の「抗菌ブーム」などでこれまで思いもよら
なかったような物も使い捨て商品として出現する様になっていますね。
(スリッパ、ほ乳瓶、カメラ、DVD等)
資源・環境保護の観点から、使い捨てを反省し、使い捨てではなく再
利用を意図する「使い切り」商品への転換も行われる事があります。
(カメラ、ビデオカメラ(アメリカに存在する))
さて、それでは縄文時代に使い捨ての品物と言うのはあったでしょう
か。
そして物の再利用はあったのか、
それはどう言う状況で行われたでしょうか。

2製塩土器
縄文時代において、土器の主要な用途はまず食べ物の「煮炊き」をす
るための「鍋」としてのものです。その後、お皿、鉢、壺なども出現して
くる。それら日用のものにもいちいち縄目の丁寧な文様を施していた
のです。
縄文時代の後期から晩期にかけて「製塩土器」が出現します。(北海
道では見つかっていません)これは、海辺で海水を入れて火にかけ煮
詰める事によって塩を得るためのものなんですね。
この製塩土器の特徴としては
・土器の厚さが薄い・外面に模様が無く粗雑・内側は丁寧に研磨して
ある(水漏れ防止のため:それをしないと、植木鉢の如く水漏れが発
生してしまう)
この製塩土器は、縄文時代の唯一の使い捨ての土器なんですね。こ
の土器は現在、塩の生産場所跡から、ことごとく打ち壊された破片の
状態で出土するのです。破片は大量に積み重なり一見あたかも貝塚
の如き外観を呈するものもあります。
また、塩生産地から離れた内陸地で出土する製塩土器もあります。こ
れらは土器に塩が付着した状態のままで消費地まで流通していたも
のなのです。
これらいずれの製塩土器も、その内側から塩を掻き出した直後に必
ず打ち壊されているんですね。塩を掻き出した後、なお塩分の多量に
浸潤した土器を破片にして、破片ごと調理中の鍋に投入してその塩
分を調味料として利用した可能性があります。(かつてこの土器を実
際に作って製塩の実験を行った時、土器表面から塩分が結晶化して
激しく吹き出る状態になったんですね。しかしこれは、上述の「土器内
面の研磨」が不十分であった結果である可能性があります。)

3土器の使い切り
縄文時代の人がいかに土器の再利用に励んだか、そのいろいろな様
態についてお話しましょう。
a 補修して再利用
発掘された土器から、ひびが入り割れたものを修理・再利用していた
痕跡が見つかる事がある。
土器に穴(補修孔)をあけ、割れた土器を(木の樹皮とか鹿等の獣皮
の紐等によって)結び繋ぎ合わせた孔の跡のある土器があります。こ
の状態では土器に水等を入れられないので、木の実・山菜等の容器
として利用したと想像されるんですね。
また、ひびが入った部分にアスファルトを塗布し補修した土器もありま
す。(火にかける事はできないが、水は入れられます)
アスファルトは本州日本海側の秋田、新潟地方の油田地帯で採取さ
れます。縄文時代アスファルトは、矢の鏃を固定したり、漁網に錘を
固定したりする用途に多く使われて来たんですね。そのために産地か
ら遠隔地まで運ばれ、アスファルトが大量に入った状態の土器が道
南から発掘されています。
b 別用途に再利用
1土製円盤
土器破片を丸い形に成形したり、中央に孔を開けたりした「土製円
盤」が多く発掘されます。用途としてはネックレス、呪符、漁網の錘
などと様々に推測されるが定説はありません。
2土器埋設炉
土器を(その容器の形を保ったまま)炉の地面に埋込み使用するもの
3土器片敷石囲炉
炉の床面に土器の破片を敷き並べている。必ず(縄文模様が刻まれ
た)表面を上にしてきれいな形に並べているんですね。明確な機能・
目的は不明です。
4祭祀用
@ 墓の副葬品
これが最も多い。この頃の墓には必ず土器が伴います。貝塚を掘る
とお墓も一緒に出て来ますが、この時代の貝塚はゴミ捨て場では無
く、モノ(食べたものとか)に感謝の儀式を行う(感謝して送る:あの世
に)ための祭祀場だったんですね。
A 儀式の際の祭器
会場の北黄金貝塚の水場からすり石が多く出土をします。ここは道具
の「送り場」であろうと考えられるんです。
(水場の祭祀の想像図↓)

青森の三内丸山遺跡にある盛土遺構は、中に土器片が大量にはいっています。土器を供養し送った跡なわけですね。それが大量に積もって小山になりその遺構を形成しているのです。


●聴講者からの質問:
Q 貝塚の貝殻から、それが煮て食べたか焼いて食べたかなどわかりますか
A 焼いたものは焦げ跡などあるので分かるが、煮たものについては
貝殻の痕跡がないので、煮たのか生食したものかについては判別が出来ないです。
Q お墓の副葬品など分析して、被埋葬者に身分差があったか否か分かりますか。
A この時代の墓には明確な身分差を示す徴候は無いです。ただ、こ
の地方で珍しい南方の貝殻が副葬品にあった墓については、村長と
かシャーマンなど特別の人の墓であった可能性がありますね。
Q 「使い捨て」を最小限にしものを大事にする縄文人の生き方に現代人も学ぶべきと考えるがどうでしょう。
A その通りだと思います。

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